卒業生の皆様へ 校長よりメッセージ~30周年を迎えるにあたって~

校長 二村 啓
校長 二村 啓

卒業生の皆さん、久しぶりです。お元気でしょうか。現在、第7代校長を務めさせていただいています二村です。

1990(平成2)年に第1回生61名の皆さんが入学されてから、早いもので32年目となりました。今年度は32回生111名の入学生があり、これまでに3,145名の皆さんに入学していただいています。

昨年(2020年)の秋にカナダの姉妹校の関係者をはじめ関係各所から来賓を招き、開校30周年を盛大に祝う予定をしていましたが、コロナ禍の影響により規模を縮小して学園内部の関係者で記念式典等を行わせていただきました。本来であれば卒業生の皆さんにも式典や記念行事等に参加をしてもらう予定でした。また、特別企画としてHomecoming Dayを設けて卒業生の皆さんに誘い合って学校に帰ってきてもらい、旧交を温めていただくことはもちろん、現在の学校の様子を見ていただくことや懐かしい先生方にも会っていただく企画もありましたが、残念ながら実現しませんでした。

今回、せめてホームページを通じて、30周年の式典のことや記念行事の様子をはじめ過去30年の学校の様子を簡単に見てもらえるようにこのサイトを立ち上げました。何人かの卒業生の方には、お忙しい中、春日丘の思い出などについて寄稿していただいています。ぜひご覧いただき、春日丘で過ごした日々について一緒に懐かしく振り返っていただけたらと思います。そして機会があれば学校を訪れていただいたり、これを機に同窓会等を催したりして、旧交を温める機会としていただけたら幸いです。

30年を振り返りますと色々なことがありました。今となっては本当に楽しい思い出ばかりです。素晴らしい皆さんとここ春日丘で出会い、苦しかった勉強や学習合宿のことはもちろんのこと、楽しかった校外学習や啓明祭、カナダ語学研修等、皆さんと一緒に語らい、そして泣き笑いしたことは、かけがえのない思い出となっています。これも皆さんに出会えたおかげです。心から感謝します。開校当時から本校を支えていただいた先生方の中には、すでに退職された方もいらっしゃいます。また、誠に残念なことでしたが、ご逝去された先生もいます。中でも皆さんの多くが直接お世話になった梅津敬先生(第5代校長)、梶田哲男先生(教頭)、そして川原光雅先生(校長補佐)が亡くなられました。痛恨の極みです。在りし日の先生方を思い出すたびに、今でも胸が詰まります。

振り返れば30年は、短くもあり長くもありました。春日丘が今日あるのは、卒業生の皆さん、在校生の皆さん、そして諸先輩のおかげです。改めて感謝を申しあげます。学校は今、コロナ禍で大変な苦労をしています。皆で肩を組んで歓声をあげることや、肩を寄せ合って慰め合うことすら憚れるような状況の中で学校生活を送っている生徒の皆さんを見るにつけ、本当に気の毒に思います。更に近年は時代の変革期を迎え、教育界も大きな変化の中にあります。近年のICTの発展によってタブレット端末が必須の学用品となっていることや、コロナ禍によって遠隔授業の必要性が高まるなどしたことによって授業技術が大きく変わりつつあります。授業技術だけでなく、AIやグローバル化による新しい時代を見すえて、学習内容や学び方も大きく変わりつつあります。

このような状況の中、春日丘は発展を続けています。校名の変更もありました。校舎、施設も開設当初とは大きく変わっています。中でもこれまで学習時間を長くとり全員一律に面倒見良く学習指導をすることを春日丘の特長としてきましたが、社会情勢や地域の状況、生徒・保護者の考え方の変化等を考慮して、共通の学習時間を6限までに縮減し、授業後に補習講座や探究学習、その他の諸活動の時間帯を設け生徒各自の選択によって主体的な学びができるような体制へと変えました。それはより生徒個々に寄り添う体制への変更であり、開校以来の特長である面倒見の良さやアットホームな校風を忘れてはいません。

お陰様で本校の教育改革の方向性やICT教育、SDGs等のグローバル教育への取り組み等が評価され、近年は入学者数も安定し社会的な評価も高まっています。これも卒業生の皆さんを始め、多くの方々のご尽力のおかげです。

ポストコロナ、アフターコロナと言われる時代が、今までよりもっと素晴らしい時代になることを期待していますが、春日丘も新しい時代に向けて、これまで積み上げてきた伝統をもとに更に良い学校となるよう、これからも職員一同教育改革に努め、精一杯の努力をしていく所存です。卒業生の皆さまにはそれぞれの分野で益々ご活躍されますよう祈念するとともに、今後とも母校である春日丘に温かいご支援をお願い申しあげます。

令和3年11月
中部大学春日丘中学・高等学校長 二村 啓