2020年8月から約半年間、ロシア連邦へ留学した本校卒業生の荒川凱人さん。
貴重な経験をした留学先でのエピソードを伺いました。
小学生のころ、親戚の姉がアメリカに短期留学し、その時の話を楽しそうに話しているのを聞いて、留学に憧れを受けました。また、留学先は皆があまり行かないような国の方が素敵な体験ができると考え、募集人数も少なくて気候も自分の肌に合っていそうなロシア連邦を選びました。
ロシアの人々は、日本人にとって未知の部分が多くあるために、「冷たい」とか「笑わない」等の印象がもたれています。しかし、そんなことはまるでなく、とても優しく、明るく、愛情深い人々です。私はロシアの人々のそういった他人を強く思う気持ちや、未知を恐れず自ら学んで理解しようとする姿勢を習得できたと思います。
慣れない中でのロシア語のみの会話では沢山の失敗をしてしまいました。中でも特に恥かしかったのは、まだロシアで過ごして3ヵ月程の頃に、学校から友達と帰宅しているとき、「好きなロシアのご飯は?」という質問に対し、お粥という意味の「カーシャ」と答えたつもりが、排泄物を意味する「カカ―シュカ」と答えてしまったことです。今でもたまに夢に見ます。
私の意見では、ロシアと日本の大きな差は人間関係の在り方だと思っています。特に異性間では顕著です。家族でも友達でも皆、知り合いは激しくスキンシップをとります。日本に帰ってきたとき、男女間にある壁がお互いをぎこちなくしているのだと思い、それからは男女隔てなく接し、人を不快にさせないように努力することが増えました。また家族をより深く愛し、感謝するようにもなった気がします。
留学する前はただ漠然と自転車の設計をしたいと思っていましたが、将来の移住地候補であるロシアは、雪は凄いし道路状況も酷く自転車なんて乗れるような土地ではないと気付いてから夢が揺るぎました。ただロシアの家族から「生きるということは変化することだ」と教えてもらってからは、より大きな目線で夢を考えるようになりました。今はロシア語を生かせる職業へと邁進しています。